心理学が好きな犬の備忘録

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よくわかるACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)を読んで 【書評】

 

「2020年、2万円分の本をレビューするまで年を越せまてん」

 

第二回は著ラス・ハリス 監訳武藤 崇 『よくわかるACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー) 明日からつかえるACT入門』(星和書店)の紹介をしたいと思います。

よくわかるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー) 明日からつかえるACT入門

この本は、よくわかるACTというタイトルからも分かるように、ACTを実践する上の最初の1冊に適している読みやすい1冊だと思いました。

アクセプタンス&コミットメントセラピーで扱われる内容は広く一般に日常生活の中に取り入れることが有効であると思いますが、この本は読みやすいと言うものの専門家向けの書籍という印象です。心理学部の学生さんや院生、現役の心理職の方々におすすめの1冊です。

 

・まずは、「今、ここ」「今、この瞬間」を意識することが重要です。

・そして、自分の考えを一旦自分から切り離し距離を取ります。(脱フュージョン) 

・辛い思いや嫌なことは無理に向き合うのではなく、また捨てるでなくその感情や感覚を受け入れて、置いておきます。(アクセプタンス)

・自分が価値あると思う行動を実際に行っていくことで楽しい感情、時に不快な感情が芽生えます。こういった感情はどんな感情であろうと必要なものとします。(コミットされた行為)

ACTで用いられる考え方の基本はこのようなものです。これらを、カウンセリング場面でセラピスト・クライエントのやり取りの中でどのように実践されていくかを例を示しながら書かれているため、非常に分かりやすい印象です。

まずは、自分自身にやってみることが大事だと書かれているので私自身も実際にやってみました。実践すると、非常に面白いしもっと深掘りしていきたいと感じました。

ACTの基本原理に、関係フレーム理論が存在します。関係フレーム理論の知識がなくてもACTは実践可能ですが、関係フレーム理論の理解があるとより一層ACTの実践に役立つかと思われます。

 

関係フレーム理論(RFT)をまなぶ 言語行動理論・ACT入門

関係フレーム理論(RFT)をまなぶ 言語行動理論・ACT入門

 

 

最近流行りの心理療法の技法ですが、「実際、ACTってどうなん?」「ACTってやってみて効果あるの?」というような疑問を持っている方にこそ手に取ってほしいと感じる1冊です!読んで実践する前は私自身も半信半疑でした。ですが、実際に読んで理解を深めていく中で、初心者にも優しく理論的背景もしっかりしている興味深い技法だという印象です。

 

「2020年、2万円分の本をレビューするまで年を越せまてん」

残り、14940円

 

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