オルタナティブロックの社会学を読んで アフターコロナの音楽シーンを考える
「2020年、2万円分の本をレビューするまで年を越せまてん」
第一回は、南田勝也『オルタナティブロックの社会学』(花伝社)の紹介をしたいと思います。
この本はタイトルの通りオルタナティブロックというジャンルにおける音楽シーンの変遷を丁寧に追って数々の名盤を挙げながら紹介しています。
ニルヴァーナやマイブラといったロック史を語るうえでは外すことのできない伝説のバンドの数々。伝説的な音楽は受け継がれつつも、聴衆や社会の変容によって私たちが消費する音楽というものは変化してきているということをこの1冊を通して考えさせられます。
後半では「ロックとスポーツ」を論じており、今の時代に求められる音楽はロックフェスなどの場面で見受けられる聴衆との一体感、踊れる音楽などが主流になってきていることが取り扱われています。
また、日本のオルタナティブロックの章ではくるりやSUPERCAR、ナンバーガールといった私たちのルーツともいえる97世代についての言及もありこの辺の文字でもうすでにお腹いっぱいになるみたいなところはあります。
音楽という不可視の媒体だからこそ、この本でルーツを紐解きながら追って深堀りしていくことも楽しめるかと思います。
今はストリーミング再生の時代で、またこの本の初版が2014年であることを含めまた現在の状況は大きく変わってきているのは事実です。しかしながら、たしかにそこにあったオルタナティブロック誕生の夜明けから現在に至るその過程を浮き彫りにするには十分過ぎる本かと思います。
現在の音楽を語るうえで必要不可欠なワードに「ストリーミング」「オンラインライブ&フェス」「アフターコロナ」といったものが挙げられるでしょう。
コロナ禍におけるライブハウスの休業やバンドの解散及び自然消滅。
音楽という媒体はスポーツとして発展してきたにも関わらず一旦そのリアルな一体感を排除せざるを得ない状況へと変化しつつあります。
これまでもそうですが、時代背景に合わせて私たちが求める音楽、流行る音楽は移り変わっていきます。これからの音楽、私たちは果たしてどのように向き合っていくことになるのでしょう。
オルタナティブロックの歴史を振り返りながら、これからの音楽に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
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