居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書を読んで
東畑開人先生「居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書」を読んで考えたことを書いていきます。
この本を紹介してくれたのは、大学院時代の後輩くん。
ケアとセラピーについてを自分の経験と重ねて語る彼の姿をみて、いつのまにかAmazonで購入していました。
これ!表紙のイラストとデザインが素敵です!
東畑開人先生の著書を読むのはこの本が初めてでした。
まず最初に抱いた感想は、物語が楽しく読みやすいというものでした。
学術書でありながら、東畑先生自身が精神科デイケアで働いていた時の出来事を非常にコミカルかつシリアスに描かれていて楽しく読めました。
現場で働くシンリシの方々はこの本の中心にある「ケアとセラピー」について考えさせられる機会となるでしょう。
物語として面白く読みやすく描かれているため、精神科デイケアで働くシンリシの様子を知りたい学部生や、実習前の院生の予備知識として読んでおくのも良いかと思います。
もちろん、その他多くの方に読んでもらいたい本です。 それは、家庭や学校、職場などの色々な場での「居る」についてを考えるきっかけとすることができる内容だからです。
私がスクールカウンセラーとして初めて配置された際、相談が無いときはまさに「一人で居るのがつらい」と感じていたのです。この本をきっかけに「居る」ことについて考えました。後に自分のできることを考え立ち回ることができたのですが、臨床を始めて間もない自分にはこの本、居るつらが良いきっかけとなりました。
では、「居る」ことがなぜつらいのでしょう?
章を進めると伏線を回収すべく、我々は現実を突きつけられます。
それでも関わる人々の一人ひとりが魅力的に描かれていて、読み終えたときは一本の映画を観終わった感覚になりました。
しかし面白かった〜!で終わらない点がさすがガクジュツショと言ったところでしょう。
この後「野の医者は笑う」「日本のありふれた心理療法」といった東畑先生の著書に出会い読みました。これらの紹介は今後書いていく予定です。
皆さんもこの本を手にとって、「ただ、いる、だけ」について考えてみてはどうでしょうか。